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2012年12月27日 vol.7

《shadowtimes》Post.4「暦のなかで」港千尋

2012の数字が入った手帳も、いよいよ最後の1ページになろうとしている。すでに来年のものに切り替えた人も多いだろう。なんだかはやかったなあ。ほんとうにいろいろなことがあった…ページを逆にめくりながら振り返りたい誘惑もあるが、そのための時間はあとにとっておこう。時間をとっておくことが、できればの話だけれど。 今年のカレンダーの最後の月は世界的に特別な月になった。周知のとおり、マヤ暦を解釈して12月の冬至のあたりを最後に新年は来ないとする、一種の終末論が流行したためである。 それが間違いでなければ、いまこうして原稿を書いていることもなかったわけだが、終末論というのは終わってから後に考えるためにあるようなものかもしれない。テレビを見ていたら、メキシコ政府にとっては大幅な観光収入につながったというから、むしろマヤ暦とその間違った解釈に感謝しなければならないところだろう。

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2012年12月20日 vol.6

《Days and Lights》Post.3「attraction」勝又邦彦

子供の頃家にはミッキーマウスの縫いぐるみがゴロゴロしていた。ディズニーが好きなわけではない。 鹿とダルメシアンは好きだったけれど、動物のデザインとしてのそれが先でディズニーのバンビや101匹わんちゃんから発しての嗜好ではなかった。 小学校高学年の一時期にはミッキーマウスのTシャツを好んで着ていたが、それはボディがグレーで袖がブラックという地味なツートンカラーが気に入っていたためだ。ミッキーはいても邪魔にはならない、というかそこまで彼に対して強い感情を持たなかったので気にはならなかった。 親もディズニーに興味はないし、妹たちも関心がないようだった。ではなぜ、縫いぐるみがあったのかというと、伯父がミッキーマウスの縫いぐるみの製造のために生地を卸していたため、わが家に来るたびごとに持って来てくれていたのである。

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2012年12月13日 vol.5

《shadowtimes》 Post.3 「船が行く」港千尋

あれは長野県新野の「雪まつり」を見に行った道すがらだった。険しい山道を抜け、川沿いの道に入ってしばらくすると、電信柱にある地名の表示に「海」なる字がある。それは長野と愛知の県境、太平洋から遠く離れて海などもちろん見えはしない。見たところ住んでいるのかいないのか分からない民家が一軒あるだけの、山の中に「海」。そこはかつて「雪まつり」を見に徒歩で山越えをしたという折口信夫が通ったというところで、不思議な地名は、なおさら記憶に残ったのだった。きっと似たような地名は、他の地域にも見つかるだろう。たとえば日本海からも太平洋からも遠い山に囲まれた土地に「会津」という地名がある。船が停泊できる港などない盆地で、なぜ海上を行くような地名が現れるのだろう。山奥へ行けば行くほど、海洋の記憶が強く現れるのだろうか。それとも水の流れが地名を引き寄せるのだろうか。この秋、熊野の海と山のあいだを走りながら、そんなことを考えた。

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2012年12月05日 vol.4

《Days and Lights》Post.2「sunshine」勝又邦彦

サンプル号でスザンヌ・ムーニー氏の池袋のサンシャイン60ビルから撮影された作品「Tokyo Summit A」をご紹介した。 そのときのテキストにもあるように「サンシャイン」というほとんど固有名詞化し、日頃気に留めずにいた名称について改めて考えてみると、自明ながら「太陽の光」を意味する英語であることがわかる。即ち最も明るいイメージを感じるべき単語である。 ところがサンシャイン60の建設場所が巣鴨プリズンの跡ということで、日本人にとっては複雑な感情を抱かざるを得ない場所となっている。そのことにより「サンシャイン」という言葉自体が言いようもない陰影を帯びているように感じられてしまう。 実際そのビルと周辺に行ってみると、歴史を知らない子供の頃でさえ、言い知れぬ冥さを感じ、なるべく早くここから立ち去りたい、という気持ちになったものである。

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