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2013年05月30日 vol.28

《shadowtimes》Post.14「雨の日の王」港千尋

初めての土地では、最低三日間あるといいという。身体が馴染むのに、それくらいかかるからだろう。先週モンゴルに着いて、あっという間にもう帰りとなってしまったが、初めての空気と水が浸み込むのには、ちょうどいい時間だったかもしれない。もっと長くいれば、当然いろんなことが見えてくるのだが、短いなりに濃い滞在だった。 首都のウランバートルは、今がちょうど春の始まりのようで、日中はけっこう暖かい。木々に緑が戻り、空港から市内へ向かう途中の草原にも少し緑が芽生えている。 これが夏になると、永遠につづく緑の海になるのだろう。誰もが思い描くモンゴルの風景は、空港を一歩出たところから始まっていた。

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2013年05月23日 vol.27

《Days and Lights》Post.13「パランプセスト」勝又公仁彦(邦彦)

Vol.20「ミュージアム都市(1)」で港さんが2004年のニューヨーク近代美術館のリニューアルオープンの時のお話をお書きだった。当時私も雑誌の取材でMOMAを訪れていた。 その際に港さんにロックフェラーセンターの下のスケートリンクが見えるオイスターバーにお連れ頂いたのが良い想い出として記憶に残っている。 都市の中心に作られた仮設のリンクでスケートを楽しむ人々を眺めながらの食事は、(良く言えば)成熟した社会の陽の面を幸福な形で見せてくれたものとして印象深かった。 今年の初めもその感覚を味わいたく再訪を機していたが、現地に駐在する親族の綿密な計画で別の楽しみを頂くことになり、次回への持ち越しとなった。 もっとも、宿泊したホテルのレストランに面した外側にもスケートリンクがあり、楽しむ人々が眺められた。 帰国後、横浜などに仮設のリンクがあるのを見た(そして私も滑った)ので、今後はそのような光景が日本でも一般化するのかもしれない。

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2013年05月16日 vol.26

《shadowtimes》Post.13「鎧戸から洩れ入る光」港千尋

うら寒い黄金週間をあけたと思ったら、いっきに陽射しが強くなり今日など真夏の気温である。窓を開けるとどこかで風にそよぐ木々の音が気持ちいい。ブラインドをすこし降ろして、読みかけた文庫本を開く。 上下に分かれた二巻の上巻は表紙がシダの生い茂る森の写真。ちょうど今時分の雑木林の光景だろう。下巻は同じような森の冬景色。ヘンリー・デイヴィッド・ソローの代表作『森の生活』、岩波文庫で1995年に出た飯田実訳である。 この新版を取り出したのは、先日G/P Galleryで開かれたイベントで、少しこの本について言及したからだ。 イベントは開催中の天野裕子の個展『UNKNOWN RENOUN』展に際して作家の天野さん、ギャラリーの後藤繁雄さんとのトークだったが、そこで展示されている写真を中心に自然や人間の心について話しているうちに、ふとこの本の書名が口をついて出たのだった。 天野さんの写真のなかには利根川流域の池や木立やそこに集まる鳥たちの風景がある。それを見ながら、なぜかソローを思い出したのだった。

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2013年05月08日 vol.25

《Days and Lights》Post.12「みえないものをみる装置」勝又公仁彦(邦彦)

Post5で雷を取り上げた際に、雷と電気との関わりについてはほんの少ししか触れられなかった。雷は放電現象なのだから、それが話の中心になるのが本来の姿かもしれない。 逆に電気といえばPost8でニコラ・テスラを採り上げた。そもそも私がテスラに関心をもったきっかけは彼のラボラトリーでの大規模な放電実験の写真を目にしてのことだった。 放電現象は稲妻の様にしか見えないが、これは電気が空気中を移動する仕方が同じためである。 電気の存在は古代ギリシャから知られ、エレクトロンと呼ばれていた。エレクトロンとは琥珀のことだ。羽毛などで琥珀を擦ると発生する静電気の現象からそう呼ばれた。電子の発見以後は電子を指す言葉として知られている。 電子を発見したのはイギリスのJ・J・トムソンで1897年のこと。彼自身は電子と呼ばず、"corpuscles"(微分子)と名付けたが、1894年に同じイギリスの物理学者ストーニーが使っていた「電子」が定着した。

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